1. 練習・訓練 そんな成長マインドセットを持ったという前提の上で、効率のよい、効果的な練習・訓練の方法をお話します。

1.1. なぜ練習・訓練が必要か? \textbf{そもそもスキルとは再現性を伴う技能のこと}です。例えば足し算ができること。例えば分かりやすいドキュメントが書けること。例えば伝わるプレゼンテーションができること。例えば上手なインタビューができること。

それらが再現性を伴って「できる」ためには、原則やプロセスの理解と共に、その血肉化というものがどうしても必要です。つまりそれは、時間をとった、練習・訓練が必要なのです。

1.2. 練習の指針:精度と速度 練習を行うとき、2つの指針があります。それが、精度と速度です。

1.2.1. 精度から始める 足し算を知らずに、足し算を行う事はできません。まずは「精度」からはじめましょう。ゆっくりやれば、足し算ができる。ゆっくりやれば、お箸が使える。ゆっくりやれば、良い文章が書ける。ゆっくりやれば、問題が解ける。

だから、\textbf{精度―なんとかできること}からはじめよう。「なんとかできる」と書いたのにはワケがあります。理解すること、知識をインプットすることではなく、アウトプットが目指されていなくては意味が無い。足し算の原理を理解する事がゴールではなく、ある程度理解した上で、実際にできる事、結果がでる事が重要です。

だから「精度」を言い換えるとこうなります:\textbf{精度の向上とは、より良い結果を目指す事。より完璧を目指す事。}
1.2.2. 速度を視野に入れる 多くの人は、「精度」で満足してしまいます。だからそこで成長が止まる。次に目指すべきは速度。速度を目指す事で、大多数のヒトと差がつけられます。先ほどできた事を、「できない」くらいのスピードでやる。精度を敢えて、一端落とします。

「足し算」はゆっくりやれば、誰でも完璧にできますね。ですが、その速度となると、10倍を超える差がつくこともあるんじゃないでしょうか。その差は、速度に対する意識の有無と、そこからの研鑽に依ります。

速度を上げようというときには、精度を犠牲にしてでも、速度を上げなければなりません。例えば、100マス計算が1分でできていたのを、50秒で打ち切りにする。間違えてもいいから、50秒で全部埋める事を目標にする。これまでゆっくりでできたものを、急に高速にするのだから、当然、\textbf{できません}。”Get out of comfort zone”とは恐らくこういうことで、そのできない速度の中で足掻き、精度を上げようとするから、速度と精度が上がる。できる速度に甘んじていれば、そのまま成長はありません。

同じドキュメントを製作するのでも、半分の時間でできないだろうか。同じプレゼン資料を作るのでも、二倍の速度でできないだろうか。普段の速度を測り、制限時間を決め、やってみることが大切です。

1.2.3. 負荷をかける ゼロから始めるならば、精度から始めた方が良いのですが、今「少しだけできること」に対して、どちらを目指せば良いのでしょうか。答えは、\textbf{たくさん、カジュアルに、失敗ができる方。}負荷が掛かり、苦しい方だ。まだ試していない方だ。

適切な負荷を掛け続けると、人間とは良くできたもので、それに「慣れ」る。慣れると、その負荷が当たり前のようになる。より過酷な環境への適応は、成長といって良いでしょう。

1.3. アヒル曲線[1] このような練習・訓練を行うとき、その成果は、図1のアヒル曲線[1]に従います。

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Figure1. アヒル曲線

この図は、投入した努力量と成果を図式化したものですが、たいていの人は、7割程度努力をして、残り3割努力すれば大きな成果が得られる直前のタイミングで努力を辞めてしまいます。ダレてしまうのです。

それは、脳の恒常性維持機能(ホメオスタシス)が働くためです。脳が変わるまい、としているのです。そうして、せっかくの努力が水泡へ。

だから、「ダレてきたらガッツポーズ」を取って、残り3割をやりきる。そうして身につける。というプロセスを踏んでください。

 

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