万年筆の愉しみかた

万年筆を、3本持っている。

はじめの1本は、学部生の頃だったか。
もとより筆記具の好きだった僕に、友人が誕生日の祝いに、贈って寄越したのだった。
確か、PILOTのものであったと思う。おろしはじめの頃より初心者に向いた、とても書き易い万年筆で、もう錆び付いてしまったけれど今も部屋のどこかに眠っている。

次の一本は、オンラインで選んだ。クレジットカードのポイントで引き換えて、手に入れた。
ParkerのUrbanというシリーズの万年筆で、女性的な嫋やかなフォルムと、深く美しい群青色を湛えていた。

今ではもう、はじめの頃の書き味は思い出せない。
3年ずっと使っていると、先端のイリジウムが何度も紙と擦れて、
自分の書き癖と合った、ここちの良い滑り具合に仕上がるのだった。
オフィスに置いて、時たま少し、キャップを開ける。

数年使うなら、もう少し良いものを持とう。
いつも使うものだから、もっと心地よいものを持とう。
そう思って、今の万年筆を探しはじめた。

 

万年筆は、迷うのも楽しみ。

週に1回、2回、伊勢丹や丸善、伊東屋へゆく。
さっと見るだけの時もある。

じっくり見たり、手にとったり、試し書きをしたり。
好きな色合い。木軸の手ざわりや石軸の硬さや重さ。
もちろん金属でも樹脂でも。

しばらくすると、自分の好きなものたちが見えてくる。
気づいたら、この一本となって。
なんども店頭やウェブで見たりして。

数ヶ月は逡巡するんだけれど、良いことのあった日に、買うんです。

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