ピラミッド構造で考える

しかし、多くの場合は必ずしも、トップメッセージは明確ではなく、むしろ書きながら考えるはずです。すなわち、ボトムアップでピラミッドを構成する時の方が多い。

この時は、どのように考えていけば良いのでしょうか。段階を追って、解説します。

事実を集め、集めた情報から仮説を導く

ピラミッドを精緻に構成したとき、その最下層は「事実」となります。その事実に対し「so what?」だから何なの?を問う事で、仮説ができます。
そして、その仮説を「検証」することで、仮説の根拠がその事実で十分かという検証ができます。

たとえば、

  • 集合時間まで後20分
  • 現在地から電車で、集合場所の最寄駅まで20分はかかる
  • 最寄駅から集合場所までは徒歩で10分かかる

ここから「集合場所には時間通りには間に合わない」という仮説が出てきます。
この仮説を検証すると、電車以外の交通手段だと間に合う可能性があるため、根拠としては不十分です。
そこでさらに情報を収集すると、他の交通手段はお金や場所、あるいは同じく時間等の理由で却下されたとしましょう。
そこではじめて、「集合場所には時間通りには間に合わない」というメッセージは、事実によって検証された事になります。

メッセージを束ねてメッセージにする

しかし、このメッセージは、本当に言いたいことでしょうか?
「集合場所には時間通りには間に合わない」に、さらにSo What(だから何なの?)は問えないでしょうか。
これにSo What?を問うと、「欠席するから議事録が欲しい」「遅刻するから先に始めていてほしい」など、本当のメッセージが出てきます。
そして、それら「欠席するから議事録が欲しい」にWhy So?(なぜ?)を問うと:
これまでの根拠であった「間に合わないから」の他に根拠となるべき他のメッセージや事実を発見する事ができ、ピラミッド構造をつくることができます。

ロジックツリーとピラミッド構造の違い

最後に、ロジックツリー(構造化の技術)とピラミッド構造の違いを明示しておきます。

ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
構造化(ロジックツリー) ピラミッドストラクチャー
目的 問題の把握 提案・意味付け
主な思考の流れ トップダウンに分解 ボトムアップに組立・構成
縦の関係 What, Why, How 主張と根拠(Why So/So What)
横の関係 MECE 同じ種類/帰納か演繹
ボックスには 概念・要素 メッセージ/事実/データ

ロジックツリーとピラミッド構造の違いは、まずは目的が違います。ロジックツリーは問題発見や課題解決など、「系統だった分解」をすることで、把握や行動を容易にするためのツールでした。対してピラミッド構造は、コミュニケーションのためのツールです。
また、ロジックツリーは、主にトップダウンで分解しますが、ピラミッド構造はボトムアップで組み立てる事が多いです。ロジックツリーの上下がWhat/Why/Howの疑問と回答の関係で、左右がMECEの関係なのに対し、ピラミッド構造の上下の関係はWhy So?(なぜそう言えるのか)という主張と根拠の関係で、左右が帰納と演繹の関係です。
使い方としても、まず問題や課題をロジックツリーによって構造的に把握し、課題を特定し、解決策を創案したのちに、それらをどう組み立てれば伝わるのかを考えながらピラミッド構造をつくります。

ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い