それでは、どのようにすれば、MECEあるいはMECE的な切り分けがうまくできるようになるのでしょうか?どうすればよいか、仮説を立ててみて下さい。

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以下、MECE分割のためのフレームワーク:語彙、既存フレームワーク、マトリクス、『時空/感情/情報』発想の4つを順に見ていきましょう。

\subsection*{MECEのツール:フレームワーク}
MECEあるいはMECE的に分解する為に、フレームワークという考え方があります。
フレームワークとは思考の枠組み、ものの見方のことです。
綺麗に全体が抑えられるような「ものの見方」は、MECEである事が多く、物事の本質をつかみやすい、と言えます。

0.1. 語彙 我々が世界を切り取り、表現する為の”ものの見方”を規定するのは、まずは言葉です。豊穣な語彙を持てば持つほど、世界をうまく切り取れる可能性が上がります\footnote{それだけでなく、脳科学[1]からは、語彙を疎かにし、ことばに注意を払わず、似ているが異なるものを同じ語彙で済ませてしまうと、神経伝達コードパターンにすり替えが起こり、間違いや勘違いをおこしやすい脳になってしまうという事がわかっています}。
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その「語彙」の中でもMECEに切り分ける為に使えそうな語彙のセットを以下に掲載します。

\paragraph{順序の語彙}
現在過去未来、大中小、BeforeとAfter、これまでとこれから、こちらとあちら、上流と下流、富裕層と大衆層と貧困層、導入・成長・成熟・衰退、

\paragraph{構成の語彙}
心技体、自己と他者、マインドとスキル、ハードとソフト、左脳と右脳、InputとOutputとOperation、5W1H、共時的と通時的、選択と集中、合成と分析、外部環境と内部体制、フローとストック、理性と感情、快と不快、ことばと行動、全体と部分、都道府県、RGB(Red,Green,Blue:光の三原色)

\paragraph{性質の語彙}
男女、動静、高低、内外、有無、外発と内発、表層と深層、硬軟、優良顧客と採算顧客と不採算顧客、サービスとメタサービス、バランスとインテグレーション

\paragraph{計算式の語彙}
質$\times$量、縦$\times$横$\times$高さ、時間$\times$空間、$利益 = 売上 – 経費$

 

\paragraph{コラム―オバマ大統領スピーチに学ぶMECE [1]}
オバマ大統領が2008年11月に行った大統領選挙勝利演説の中の一節に、こういったフレーズがあります。\\
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It’s the answer spoken by young and old, rich and poor, Democrat and Republican, black, white, Latino, Asian, Native American, gay, straight, disabled and not disabled – Americans who sent a message to the world that we have never been a collection of Red States and Blue States: we are, and always will be, the United States of America.
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―その答えは、老人と若者、持てるものと持たざるもの、民主党支持派と共和党支持者、黒人と白人とラテン、アジア人とネイティブアメリカン、ゲイとストレート、障害者とそうではない人々によって叫ばれた答えだ。
アメリカ人が世界に示したのは、アメリカは単なる赤(共和党のカラー)と青(民主党のカラー)の州の寄せ集めではなく、アメリカはこれまで、そしてこれからも アメリカ\textbf{「合衆国」}であるという事です。
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アメリカ人を・年齢・所得・政治的信条・出自・性癖・境遇など多様な切り口によって、見事にMECEに切り分け、聴衆に迫るスピーチです。
これがもし、老人たちだけを、富裕層だけを挙げていたら、若者たち、持たざる者達の反感を買うでしょう。そして、単に「みんな」「全員」「皆さん」というだけであれば、その「みんな」に自分は含まれているのか?聴衆は不安になるのではないでしょうか?
というのは、例えば人を2つの要素:男女 に分けたとき、それは単なる分割の手続きに留まらず、男集合+女集合によって、人という集合を定義している事に他ならないからです。ある「全体」を2つに分けるという事と、その2つで「全体になります」という宣言は、同じことなのです。
言葉によってMECEに分解する事は、単に構造を作るのみならず、何かを訴えかける時にも有効なのです。

 

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