既存フレームワーク

これから、既存のフレームワークの紹介をします。
既存のフレームワークとは、昔の偉い人が考えたフレームワークの事です。
例えるなら「3枚おろしのやり方」「マグロの解体法」のようなもので、それに沿うと綺麗に分類/分解できる事もありますが、反面、違った対象には使えなかったり、単なる既存フレームワーク当てはめをしても意味がなかったりと弊害もあります。本当にたいせつなのは、定石ではなく状況をもとに戦略を立てることです。

そこで、フレームワークがどんなものか概要をつかむ。いくつかのフレームワークを知っておき、そのアナロジーで違う場面に応用する。という2つを目標に、ここでは空雨傘、3C、4Pなど、いくつか有名どころの既存フレームワークの紹介をします(覚えなくていいです)。

空→雨→傘:

簡単な状況認識と解釈およびアクションを意味するフレームワークがこの「空→雨→傘」です。
空:黒い雲が増えてきた(状況認識)→雨:雨が降りそうだ(解釈)→傘:傘を持って行こう!(行動)というように、認識→解釈→行動を切り分けて考える事で、「現実を見る前に解決策に飛びつく」ことや「自分で解釈せず、言われた事をただこなす」といったことを避ける事に繋がります。他人に説明するときも、この「空→雨→傘」を意識して話すことで、分かりやすい報告や、相手にとって判断のしやすい報告ができるようになります。

空・雨・傘
空・雨・傘

戦略の3C:

会社の戦略を立てるとき、Company(自社)・Competitor(競合他社)・Customer(顧客)の3つについて考えれば、抜け・漏れが少なく、幅広く全体を抑えられる、というフレームワークです。

戦略の3C
戦略の3C

特に、企業では、競合他社を気にするあまり、自社の強みを知ることがおろそかになったり、競合との差別化のみを追求するあまり、顧客の満足という事を考えるのがおろそかになったりします。
この3Cは自社と顧客、特に「顧客」について考えさせられるフレームワークです。

マーケティングのSTP:

市場細分化(Segmentation),対象の絞り込み(Targeting), 立ち位置の決定(Positioning)を決め、他社と差別化戦略を行うためのフレームワークです。
市場細分化とは、市場で顧客を絞り込むために、何らかの基準で顧客を区別することです。例えば年齢層やライフスタイルで区切ります。「小学生」「中学生」「高校生」「大学生」「若手社会人」「中堅」「壮年」「それ以上」など。対象の絞り込みとは、区切った顧客層の中で、どの層をメインターゲットにするか、です。例えば「小学生向けコーヒーを売る!」がそれです。
立ち位置の決定とは、その中でもどういう路線を目指すかです。小学生向けコーヒーでも「甘いのか苦いのか(砂糖の多寡)」「マイルドなのかコクがあるのか(ミルクの多寡)」「高級なのか低級なのか」など、その商品やサービスの位置づけを行います(通常は、他社がカバーしていない領域を狙います)。

マーケティングの4P(Marketing Mix):

製品(Product), 価格(Price), 宣伝(Promotion), 流通(Place)について考えます。
Productは、製品の機能や特徴、品質やデザイン、ブランド名やパッケージングについて考え、Priceは価格や割引、支払期限や支払方法について考えます。Promotionは販売促進や広告などを考えます。最後に、Placeは、流通チャネルや在庫、品揃えや販売店舗の立地について考えます。

競争力のSWOT分析(Cross SWOT):

強み(Strength), 弱み(Weakness), 機会(Opportunity), 脅威(Threat)を、SW×OTの形に書き出して、機会の最大化や、脅威の打ち消しを図ります。

Cross SWOT分析
Cross SWOT分析

強み×機会: 機会を最大化するために何ができるか?
強み×脅威: 脅威を強みで打ち消すために何ができるか?
弱み×機会: 弱みで機会を逃さないために何ができるか?
弱み×脅威: 最悪の事態を回避するために何ができるか?
のようになります。

これは、会社に限らず、個人の資質レベルでも、自分の強みを活かし、弱みによる致命傷を避ける事を考える時に利用できます。

事業分析のポートフォリオ:

BCG Portfolio
BCG Portfolio

BCGポートフォリオとも呼ばれる、事業を分析する時のフレームワークの一つで、市場成長率と、マーケットシェアの高低で事業を分析します。問題児をスターに育て、負け犬は撤退、カネの成る木は維持、を目指す事が多いようです。シェアを奪いに行くため、投資すべきなのか、撤退すべきなのかという『意思決定』の一助となるマトリクスです。

アンゾフの事業成長マトリクス:

アンゾフの事業成長マトリクス
アンゾフの事業成長マトリクス

市場と製品の新規/既存によって事業を分け、それぞれの象限なりの「戦い方」があるとするフレームワークです。
たとえば、市場は新しく、製品は既存のものを用いる左上の象限では、市場開拓戦略:例えば、スターバックスが海外へ店舗を出したり、任天堂がNintendoDSを出す際に、ゲーム機を使うのを、子供だけの市場から、脳トレなど大人向けの市場を開拓した、といったような戦略をとると、うまくいく、というフレームワークです。