欲しいものを購入する:

問題発見

さて、私がほしかったのは、作業をしたり、仕事をしたりする時にあると、時間が測れたり、時間を知らせてくれたりと、何かと便利そうな「タイマー」でした。世の中には多くのタイマーがあります。ミリ秒単位で計測できるもの。1分単位でしか計測できないもの。デザインに凝ったもの。大きいもの。小さいもの。一体どれを買えば、「良い買い物」をしたことになるのでしょうか?
ここで、問題を「タイマーが欲しい」からより良い問題に書き換えます。すなわち、Step1. 問題設定:私はどんなタイマーが欲しいのか?

要因分解/原因抽出

この問題を解くために、要素を書き出してみることにします。もともと、タスクやレポートにかかる時間を把握するのが目的なので、こういった機能があることが条件になりそうです。

  • 知らせ方:音(アラーム) と振動(バイブレーション) の両方でお知らせ(わかりやすい+他人の迷惑にならないモードの切り替え)
  • 計測単位:1秒単位で計測はできなくてもいいが、1分単位は欲しい(主にタスクの時間把握)
  • 重さ/サイズ:持ち運びしたい(薄くて軽いのがいい。)
  • 最長計測時間:できれば9時間くらいはかれるといいなあ(睡眠の目覚ましにもなるといいので。目覚ましに使わないなら90分測れればOK)
  • 計測方式:カウントダウンとカウントアップの両方欲しいな(何分かかるか、と、何分以内に、と両方に使いたい)

こういった要件を定義しました。

作戦立案

それをどこで探せば良いのでしょうか? 「タイマーショップ」のように、古今東西ありとあらゆるタイマーが集まっている店があれば良いのですが、どうにも無さそうなので、アマゾンで探すと良さそうです。

(提案) 実行

あとは、探し出して、買うだけです! Amazon で候補を絞ったとき、全ての条件を満たす「理想のタイマー」は無かったため、条件を大体満たすものを2つにまで絞りました。そのスペックは以下です。

問題解決の「転び方」
Spec \ Name タイマーA タイマーB
知らせ方 アラーム+ 振動 アラーム+ 振動
計測単位 1秒 1秒
重さ 28グラム 28グラム
サイズ カード型 小さいが分厚い
計測方式 ダウン/アップ両方 ダウン/アップ両方
最長計測時間 99分 24時間

カード型で99分しか測れないタイマーA か、少し分厚いが24時間測れるタイマーB か迷いました。
そうして、探したときに触れた情報で修正もあり得ます。「時間を入力する」という動作について、良く考えていませんでした。実は、タイマーA の入力は、10分・1分・10秒での入力が可能で、タイマーB の入力は、1時間・1分・1秒づつの入力しかできませんでした。つまり、タイマーA では例えば25秒の計測はできないが、タイマーB では25秒測るのに1秒キーを25回押さなければいけない事になります。
自分の実用を考えたとき、1秒単位で計測できる必要は無い上、講座の中で使う場合、たとえば30分計測するときに、タイマーB で1分キーを30回押す事を考えると、少し実用的ではありません。そういった評価をした結果、タイマーA を購入する事にしました *1

振り返り

実際に買って使ってみると、もちろん、事前に予測できないモノもありました。音の出るアラームモードにすれば、結構大きな音が出るこのタイマーA は、場を制圧する機能がありました。講座をやったり、会議で何分間か取る時に、その音で時間をハッキリと区切り、うまく集団の中で時間を管理するのに有効でした。
これはうまくいった例ですが、うまくいかなかった場合にも、きちんと考えてから買っていれば「ミスった」ではなく「次はこういうことにも注意しよう」と、次回の修正がかけられるのではないでしょうか。

このように「まず思考」からスタートすることで、自分が本当に欲しいものに一番近いものを買うことができ、無駄なお金を使わずに済みます。実際、今でもタイマーA *2 を愛用しており、その便利さに気づいた周りの友人たちが同じものを続々と購入しています(笑)

また、ステップの2番目「要因分解/原因抽出」をもっとシッカリとやるなら、What ツリーを使ってタイマーとは何か?という要素を抽出(要因分解) →その機能群の中で欲しい機能の特定(原因抽出) をするとBest でしょう。
せっかくですので、構造化の復習がてら、構造を把握する様子を実践してみましょう。まず、タイマーは、機能を持つ物体ですから、「どんな機能を持つか」と「どんな特徴の物体か」に分けられそうです。機能については、時間を計る × それを知らせるに、物体としての特徴は、重さ×材質×形状に、それぞれ分解できそうです。
このように分解をしていくと、下図のような構造が作れます。オレンジに塗り特定した「必要な要素」をそれぞれ、入力の手間はどのくらい楽であればいいのか、入力の制度は何分単位・何秒単位・何十秒単位でできるものが欲しいのか、というようにチェックリストとして利用し、理想のスペックをより明確にする事ができます。

タイマーとは何か
タイマーとは何か

*1 本当は、ピッタリの条件を満たすものが無いか、Amazon.com の英語サイトを漁ってみましたが、それでも存在しなかったので、現状の自分にとってはベストの買い物はタイマーA であると考え、気持ちよく購入しました
*2 ちなみに、DRETEC 社製。カード型デジタルタイマー「バイブカード」T-155BL です。お勧めです。