ピラミッド構造のつくりかた(メインメッセージが決まっている場合)
それでは、どのようにしてピラミッド原則を実践すればよいのでしょうか?
メインメッセージが決まっている場合のピラミッド構造のつくりかたを、以下、そのプロセスを示します。
- まず、メッセージ(一番言いたいこと・メインとなる提案)を一言で書く。
- 次に、メッセージが回答となるような、導入部(状況→複雑化→疑問)を作る。
- メインメッセージをサポートする幾つかのサポートメッセージを演繹法/帰納法で書く。
- それぞれをさらにサポートするメッセージを演繹法/帰納法で書く。
以上の4ステップで、ピラミッド構造をつくることができます。
無理やりピラミッドのカタチに当てはめるのがポイントです。
相手の疑問を知る
導入部では、通常相手の頭に疑問をつくりますが、相手の頭の中の疑問を知ることは極めて大切です。提案を受ける相手にとって「何が大切」なのでしょうか? あなたと一緒に働く事でしょうか、可愛い女の子/格好イイ男の子がチームに居ることでしょうか、学びや成長があることでしょうか。それとも、儲かる事でしょうか、組織内でのメンツでしょうか、楽しい時間を過ごすことでしょうか。
このように、相手にとって根本的に大切な事が何かが分からなければ(あるいは、提案することが、相手にとって大切な事であると分からせられなければ)、提案は大抵の場合、失敗します。
論点
相手にとって大切な事で、まだ確固たる答えを持っていない項目の事を論点と言います。相手にとって大切で、答えを持っていないからこそ、そこに提案の余地があるわけです。そして、この論点を汲みだせるのは、普段の対話の中からです。
例えば、同じサークルで新勧をするにしても、色々な「論点」を持つ人が居ます。多くの新人を集めたい人、自分の仕事が増えるのが嫌な人、新歓の中でただ自分が目立ちたい人。新人の育成がしたい人。良いチームを作り上げたい人…etc.
だけど、普通は「絶対に仕事しないぞ!」とか「絶対に一番目立って見せるぞ!」とか、確固たる考えを持っているわけでは無いでしょう。
そこで、「彼にとって、何が大切なんだろう?」を考え、説得し、提案を通す余地が生じてきます。
サークルの中では目立たなくても、サークル自体が目立つようなものであるとか、仕事は新歓期には増えるかもしれないけれど、新歓が成功すれば、仕事がうまく分担できる、とか。
その疑問に答える(示唆を与える)
疑問に答え、提案を通す為には、「あなたが考える(=相手にできるだけ考えさせない)」事が大切です。考える労力をあなたが負担する事で、「先送り」や「そのうち検討しよう」を避ける事ができます。
「疑問に答える」というのは、単に、可能性を列挙したり、オプションを畳みかけるのではなく、一つの提案、一つのメッセージとして「示唆を与える」ように疑問に答えなければならないのです。示唆は、100\%を保証はしないが、相手の疑問を絞り込むピースになり、方向性を与える情報(cf.恐らくこうした方がよいでしょう!)、ということです。
例えば先ほどの新歓の例であれば
『「盛大にやる」「小さくやる」「ビラを撒く」「ビラを貼る」「ネットでアプローチ」「セレクションする」「知り合いを誘う」いろいろ考えられますが、どうしましょうか?』 ではなく、
『小規模に、将来伸びそうな人材だけを新歓するのはどうでしょうか? 飲み会を4月中の土日に3回やることで、$20人 \times 3回 = 60$人の新人と会い、最大5人程をピックアップします。将来伸びそうな人材かどうかを見分ける事は我々なら2時間も飲めばできますし、小規模にやると新歓費用や手間が少なくてすみます。ビラのサイズを変えて差別化し、歓迎文にこだわる事で、60名の確保は例年と比較しても簡単であると思われます。』
といったように、自分なりの示唆=「最適案」と「その根拠」を述べると、提案がそのまま通らなくても、相手は判断しやすくなります。提案したのに「どうしよう」とか「どうしたらいいんだろう…」と迷われる事も少なくなります。
なお、このあたりのことは、次の本に詳しいです。自分のレベルが上がると汲み取れるメッセージも増えるという、めちゃくちゃ素晴らしい本です。
帰納と演繹
また、演繹法と帰納法はこのような関係にあります。
すなわち、観察事項から法則や一般論・大前提を導くことを帰納。それら法則/一般論/大前提を適用して、個別具体的な結論を引き出すことを演繹といいます。