ここまでのアプローチは、実はトップダウン、すなわち、構造化のツリーを上から順番に作っていくような時に使えるやり方でした。これは、もともと「分解」をするやり方なので、トップダウンに刻んでいく、というのが自然な思考の流れだからです(のちに触れる、ピラミッド構造ではボトムアップで考えることが多いです)。
対して、ここからは、ボトムアップ:すなわち、非常に具体的なものや、やりたいこと、チェック項目など「ボトム」から出発してツリーを上にあがっていくようなやり方を模索します。
具体化してグルーピング
これは、文章を書く時などがわかりやすいでしょうか。具体的に「こんなことを書いてみたい」をいくつも列挙します。
そうして、書いてみたいことをグループに分け、階層化し、構造を作り、出来た構造に抜け漏れや、大きなバランスの崩れがあれば修正します。こういった時や、行動案をたくさん出さなければ、何か企画を作らなければ、という時には「閃き」「飛躍」のプロセス、すなわちアイディアを出す事が必要になってきます。
ここでは、そういったボトムアップアプローチに有用な事例・アイディア出しと、そのグルーピングについて考えます。
事例/アイディア出し
アイディアとは何か
アイディアとは、単なる思いつきでも、妄想でもなく、「トレードオフを解消するような案 [23]」「複数の問題を一気に解決してしまうような案 [64]」の事を言います。企画であれば、今の組織の現状の資金力や方向性から逸脱し、全く実現性の無いような企画は単なる妄想ですし、それは行動案でも同じ事です。
それでは、そのようなアイディア出しに有効なテクニックを見て、いきましょう!
アンテナを張る
解決したい問題を頭の隅に入れて、問題意識を持ちながら日常生活を過ごすと、日常で遭遇する何かがその「アンテナ」に引っかかる事が良くあります。
本当に意識して、アンテナを立てていれば、一日にいくつかはアイディアを思いつくものです。思いつかなければ、きちんと意識しているかどうか、確かめてみましょう。
着想の箱 [61]
そういった「問題意識を持つ」「アンテナを立てる」事をさらに容易に具体化できるのが、「着想の箱」です。
上図のような箱を思い浮かべて下さい。その箱の一番左側に、今懸念している問題、解決したいもの、「解決や構造解明に集中する対象」を入れてください。
次に、日常生活を過ごしながら、一番右の箱に、観たもの、聞いたもの、感じたものを「放り込んで」みましょう。そうして、問題と、INPUTされた現実と、何か繋がりはないか、探してみてください。
繋がりを見つけると、そこにアイディアが産まれます。
「箱を持つ」という発想が、アンテナの感度を高めます。
「それ以外」 [7]
それまで既に要素として出したものを、「それ」と置き、「それ」に名前をつけます。その上で「それ以外」を考えます。
例えば
お金を「稼いでない」「使いすぎ」を「それ」と置きます。「それ」というのは、お金の流れのインとアウトですから、それ=お金の「フロー(流れ)」です。そうすると、「それ以外」=「ストック(在庫・蓄え)」と言えます。
そうするとストックの例として「貯金が無い」などの分解ができます。
極端を考える
もしも0だったら、もしも100倍にしてみたら、というように、極端な事を考えてみることで、新しい発想を得ることができます。
他者視点
実際に他者(他人)の視点を入れるために、数人で集まってブレインストーミング(否定せずに突飛なものでも良いからアイディアを出し合う)など、たくさんのアイディアを出すためには、実際に他者を巻き込むのが有効です。
自分自身が他人の視線で見るためには、背景を考える、現場に行ってみる、一緒に過ごしてみる、他者にとって一番大切なものは何かを考えてみる、などが有効です。
さらに、外国語が堪能な人は、『外国語で考えてみる [22]』というアプローチも立場を変える事も有効です。例えば英語で考えることによって、単数を複数を厳密に峻別するなど、母国語による思考上の隠れた常識を変えて思考する事ができます。
グルーピング
案だし・アイディア出しをしたら、それを上手にグループ化することで、トップダウンで見たような構造を作る事ができます。
では、どのようにグルーピングをすればよいのでしょうか? グルーピングとは、そもそも何なのでしょうか?
共通点・相違点を見つける
グルーピングの一番簡単な方法は、ポストイットやマインドマップなどで、似ているものを近づけたり、似ていないものを遠ざけたりと色々な組み合わせを試してみる事です。
これによって、情報を分類する事ができます。
本質を考える
情報や、グループに対して「この本質は何だろう?」と考えてみることで、新しいグループを見つけることが可能です。
つながり―全体最適
一つ一つの問題への対処ではなく。いくつかの問題を並べてグルーピングしてみると、問題だと思っていたものが、単なる症状にすぎず、その根本の原因が見えてくるような時があります。
「統合」の重要性
グループやラベル、情報に対し「意味付けする」ことを統合と呼びます。これはどういう意味だろう?という問いを発することで、関連を明らかにし、ツリー化することが可能です。